私・・・そうばかりとも言えないのさ。日本と中国とが
仲良くなることを、アメリカもイギリスも嫌っていた。
何故って、日本と中国が仲良くなって、中国の市場を
一人占めとまでは行かないまでも、日本が中国で有利
な立場に立つと、アメリカやイギリスはそれまで不当
に得ていた色々な権利を失うからさ。一方、中国にも
昔から遠交近攻策といって、遠い国とは親しくし、近
い国とは戦うというやり方が、身の安全を守る上で有
利だという考え方があった。そんなわけで、アメリカ
やイギリスは中国の抗日運動をもっとやれ、もっとや
れとけしかけたわけだし、中国政府もその尻馬に乗っ
て、抗日策を進めたわけだ。
しかし本当は、抗日運動の一番の元凶はコミンテルン、
つまりソ連共産党の謀略だよ。コミンテルンは中
国共産党を使嗾して、中国の国民政府軍と日本軍とを
戦わせ、両方を疲弊させて、その間に共産軍の力を蓄
えようとしたわけさ。日本が大東亜戦争に敗れたとき、
今迄日本軍と戦っていた国民政府軍が共産軍に忽ち敗
れ、台湾に逃げ延びたことは知っているだろう。蒋介
石の国民政府は、まんまと共産党にしてやられたわけ
だ。
国民政府の人達の中にも、汪精衛のように日本と仲
良くすべきだと主張した人違も居たわけだが、結局は
大勢に押し切られたわけさ。
日本と中国とが最後まで戦わねばならなかったこと
は、本当に不幸なことだったと思うよ。
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