昭和天皇の
お悲しみと御決意





孫・・・「私は日本と共に終始東亜の解放に協力した諸 盟邦に対して、本当にすまなかったと申し上げたい。 また日本国民で戦陣で死んだり、職域に殉じたり、非 命に斃れたりした者、及びその遺族のことを思えば、 はらわたを引き裂かれるような痛みを覚える。更に戦 傷を負い、災禍を蒙り、或いは家業を失った者が、ど のようにしたら立ち直れるようになるかということに 付いては、私が最も心配する所だ。」


私・・・そう。そこで一区切りだろう。原文では「五内 為に裂く」と書かれているが、五内とは五臓六腑のこ と、内臓のことだ。これ以上つらいことはないという 思いを述べられたわけだ。


 身は如何になるともいくさとどめけり
   ただ斃れゆく民を思ひて



という八月十五日に読まれた御製があるのを知ってい るかな。前にも話したように、昭和天皇はマッカーサー 元帥を訪ねられて、自分の身はどうなってもよいから、 国民を飢えさせないようにしてほしいと申し出られた のだね。外国の君主にそういう君主は居ないよ。

それからもう一つ大事なことは、日本と一緒になっ て東亜の解放に協カした国々に対して、すまなかった と言って居られることだ。インド・ビルマ・インドネ シアなどに対して、独立の成果を見ないまゝで日本が 敗れたことを詫びて居られるのだ。決して侵略したと 言って詫びて居られるのではない。

では次へ行こうか。



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