戦友連の悲願



全国戦友会連合会(戦友連)は、全国の戦友会が、ただ一つの目的を目指して結集した連合会であります。

元来戦友会は、かつて戦場で生死を共にした戦友達が、当時の戦友愛に結ばれて集まった団体であり、亡くなった戦友の慰霊とお互いの親睦を目的としております。戦友のほとんどは、徴兵で軍服に身を置いた者、赤紙一枚(召集令状)で軍服を身に着けた者であり、決して旧軍人の集まりではないのです。

したがって思想も宗教も千差万別ですが、ただ一つ共通の悲願ともいうべきものがあります。それは散華された英霊が国家によって公に祀られるようにしてもらいたいということです。この悲願達成のために、期せずして結成さされたのが戦友連なのです。







世界の国々をみても、国のために殉じた者を祀らない国はありません。また日本でも、大東亜戦争終戦までは祀られてきました。殉国の英霊は、自分の死が日本の平和と安泰のために役立つことに満足し、また護国の神として祀られることを信じて散華していったのです。我々かつての戦友が、理屈抜きで、これだけは再現しなければ英霊に対して申しわけないと思うのも当然でしょう。遺族の方々の心情もまた同じことだと思います。

我々は、少なくとも戦争と平和の両面を身をもって体験しました。だからこそ平和の喜びも、戦争を憎む気持も人一倍強いものを持っています。殉国の英霊を国が祀ることが、もし軍国主義の復活につながるなら、我々は率先して反対するでしょう。しかし我々は、そうは考えません。むしろ祖国の平和と安泰を念じて逝った英霊の心を心とし、日々反省していくところに真の平和が保たれるものと信じます。口先だけの平和の空念仏が、何ら平和に役立たないことは、最近のなんとなく騒然たる世情でも明らかではないですか。

我々は、遺族会はじめ同憂の団体と力を合わせ、靖国神社法の制定を貫徹することによって、英霊に対する責務を果たし、英霊の意志に添いたいと念願してやまないのです。


(昭和四十四年四月)








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