年 頭 所 感



会長  西田 將


新年明けましておめでとうございます。

今年の年頭所感は、二十一世紀を迎えたこともあってか、例年になく『よくぞまあ、ここまで生きられたものだなあ』の感慨でした。

そして、『いやいや、生きられたのではない、生かされたのだ。「お前はまだやらねばならぬことがある」と、ご英霊はおっしゃっているのだ』との思いで、身の締まるのを覚えた次第です。


確かに今の日本は、まだまだ暗い部分が一杯です。二十一世紀への展望どころか、今ではアメリカの識者の中にも、日本衰亡論を口にする者が増えているということです。ご英霊は、自分たちが命に替えて守った祖国日本がこんな状態にあることを、切歯扼腕しておられるに違いありません。我ら、老兵といえども座視しているわけにはまいりません。 顧みれば、二十世紀最大の出来事は大東亜戦争であったと思います。五百年の長きにわたる白人支配の世界をひっくり返し、人種無差別の世界を産み出す端緒となったからです。その意義深い大東亜戦争において、実兵として終始敢闘したのが我らが世代でした。

そして満身創痍の状態で祖国に帰還した時、我らを待っていたのは焦土と化した祖国の復興でした。我らは又、復興の実兵として身を粉にして働きつづけました。

それから三十年、日本は世界の経済大国となったが、日本精神を失った祖国は混迷の闇に閉ざされ、今日に到っておるのが現状です。そして我らは、ここでも三たび立ち上がりました。戦友連設立以来三十二年の歩みがそれです。


こうして見ると、我らが世代は二十世紀の殆どを祖国、祖国、祖国の為に生きてきました。こんな世代は前にも後にもないでしょう。正に後世の史家が絶讃するであろう「誇り高き」世代ではありませんか。

その我らが、ご英霊の輿望を担って二十一世紀の大門を通過したのです。ここまで生かされた意義に感奮し、二十一世紀の大道を勇往邁進しようではありませんか。皆様の更なるご健勝とご活躍を心から祈念して止みません。



平成13年1月25日 戦友連384号より


【戦友連】 論文集