祖先を祭祀せぬ民族は滅亡する





横浜市  田村 一


「親は幹、枝葉は子孫、根は先祖」と言う。人は自分の祖先を大切に祭り、子孫の繁栄を願うのは自然であり、当然である。世界の民族や国家も夫々に先を祭祀し、子孫の繁栄を祈念する。民族の祖先の祭祀を忘却放棄した民族が自滅するのは、当然の結果である。





昭和十六年十二月八日、米国の謀略的挑発に止むにやまれず決起した日本は、大東亜防衛(歴史的な白人帝国主義の侵略防衛)戦争に善戦敢闘したが、残念ながら敗れた。しかし、数百年に及ぶ白人の侵略を完全に阻止した。東南アジアの植民地を始めとし、百ヶ国以上の植民地が続々と独立し、異口同音に「日本という母親が大難産をして、西欧の植民地として奴隷化されていた我々を産み出し解放してくれた」と、現マレーシアのマハティール首相をはじめ独立した国の人々は日本に感謝された。

然るに日本に於ては、祖先である殉国の靖國神霊を祭祀する子孫の政治家が何人いるか?隣国の中傷を恐れて祭祀しない愚民主政治家(総理以下)のなんと多いことか。

戦後「戦勝国は正義なり」と定義して、「日本を悪人」として断罪した。その東京裁判史観に毒された進歩的文化人の発言は、政治家にも悪影響を及ぼし、殉国の戦士である我々の戦友・日本民族(朝鮮・台湾を含む)を祀る靖國神社参拝をしない政治亡国的風習を造成した。殉国された祖先を祀らない国は世界に無い。





昭和三十九年、日本社会党の佐々水更三委員長らが訪中した時、佐々水氏が日本の中国侵略を謝罪したのに対して、毛主席は、「何も申し訳なく思うことはない。日本軍国主義は、中国に大きな利益をもたらした。中国人民に権力を奪取させてくれた。日本の皇軍なしには、われわれは、奪取することは出来なかった」旨、二時間四十分の会談で数回にわたってこのことにふれ、「日本の皇軍に感謝する」とまで語っている。(「毛沢東思想万歳」下巻東京大学近代中国史研究会訳 昭五〇・三・三一 三一書房)(「毛沢東外交路線を語る」太田勝洪編訳 昭五〇・三・一五 現代評論社)

また毛主席は、昭和三一年に訪中した遠藤三郎元陸軍中将を団長とする元軍人代表団に対しても、同じことを語っている。(資料 前述に同じ)

また、ケ小平首席も、昭和五十二年に訪中した三岡健次郎元陸将らと会談した際に、「日本は中国を助けたことになっている。(中略)日本が蒋介石を重慶まで押し下げて呉れたので、我々は日本軍の占領地域の後方に広がった。(中略)皆さんだけを責めるのは不公平と思う」(「中国との友好交流20年の感想」三岡健次郎 平七・六・三〇 中国政経懇談会)と語っている。





この証言を見聞する時、政治家の不見識・非常識を慨嘆せざるを得ない。殉国祖先を祭祀した靖國神社の政治祭祀は、日本民族繁栄発展の原点である。





元陸軍海上挺進第35戦隊長





平成13年5月25日 戦友連388号より


【戦友連】 論文集