私・・・うん、あるよ。
私・・・ビルマだよ。ビルマというのはタイのもう一つ 先で、インドの手前にある国だ。
私・・・そう。戦争はよくないことだネ。なるべくなら 戦争なんてしない方がよいとおじいさんも思うよ。
私・・・戦争はしたくはないさ。だけど日本が
私・・・そう。真珠湾攻撃は確かに日本がやったのさ。 しかしそれは何も戦争をやりたくてやったのではない。 いや本当はやりたくなかったのさ。だってアメリカの 物量が日本より遥かに勝っていることは、日本の陸海 軍だって十分知っていたのだから。
私・・・日本が、負けることを覚悟してでもアメリカに
宣戦を布告したのは、それまでの長い長い歴史の積み
重ねの結果なのだよ。それをよく勉強しないと、中々
本当のことは分らないね。
戦争が始まった年も、日本はアメリカと随分我慢強
く交渉した。しかし最後に「ハルノート」というのが
提出されたんだ。ハルノートとはハル国務長官(日本
の外相に当る)の覚え書きということだが、それによ
ると、日本が中国や満州から完全に兵を引かない限り、
経済封鎖を更に強めるというものだった。経済封鎖は
最近も国連がイラクやユーゴで行っているから分るだ
ろう。
日本の場合、石油の貯えが既に一年か二年分しかな
くなっていたから、ここで経済封鎖を強化されたら、
戦力がゼロになるばかりでなく、日常生活も大変な混
乱を来すことは明かだった。だからと言って、ハルノー
トで示された通りに兵を引くということは、長い間の
日本の努力――その間には沢山の日本人の血も流れた
わけだが――そうした日本の努力を全く無視した一方
的な提言で、当時の日本としては到底認めることがで
きなかった。
だからこそ、真珠湾攻撃が成功した時ほとんど大多数
の日本人は、「よくやった」と軍部を支持したわけだ
し、マスコミも、これまでの隠忍自重が漸く報われた
とほめたたえた。よく軍部による報道の規制というこ
とが言われるが、確かに敗けいくさになってからの規
制はあったであろうが、緒戦において、国民もマスコ
ミも、みんな心から喜んだというのが本当の姿だ。
戦争は出来るだけ避けるべきではあるけれども、国
の危急存亡の時には、命を捨ててでも守らなければな
らないんだよ。
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